倉方:この中之島公園もまた、明治時代に誕生した場所です。デザインを少しずつ変えながら、今ではバラ園が有名で、毎日たくさんの人が訪れています。それでは、ガーデンデザイン学科の二宮くん!この公園を見て、二人に自由に説明してみてください(笑)。

二宮:はい!例えば、日本庭園では、自然に近い状態に見えることを計算して草木を植えます。しかし、この中之島公園のような西洋式の庭園では、真ん中に軸を通し、左右を対称にして植栽しています。有名なものだとベルサイユ宮殿の庭園が近いですね。

寺田・小林:おお~!

倉方:すばらしい!そうなんです。これは西洋式の庭園で左右対称になっています。フランスをはじめとした西洋的な考え方では、幾何学的な設計が美しいとされていて、この公園はそれに則ったものです。

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寺田:確かに、同じ庭園でも日本庭園とはまったく別の美しさを感じます。

倉方:この左右対称の設計は、実は先ほど説明した難波橋にも関係しています。わかりますか?

小林:う~ん。どれも近い時代につくられたものですし、やっぱりデザインとか…?

倉方:もちろん、それもあります。ちょっと難波橋の橋桁を見てみましょうか。どう?わかりましたか?

二宮:橋桁のアーチの中央と庭園の中心線が重なっています!

倉方:そうなんですよ!橋と公園が融合しています。この中之島公園は土木と造園が混ざり合うことで生まれた公園なんですね。ここからわかるように、大阪の公園や広場は造園や土木の壁を越え、プロが協力し合うことで生み出されてきました。

小林:すごい!土木と造園がつながっているんですね!

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倉方:そうなりますね。先ほど話したように、大阪は優れた構造物により、昔から人々の安全性や快適性を追求してきた街です。美しい建物や橋があって、公園があって。緑は心地よい空間をつくるためにも非常に大切な要素ですからね。

二宮:当時の人も緑が好きだったんだろうなぁって、ちょっと、ジーンとしちゃいました(笑)。

倉方:では、二宮くん。造園の魅力ってどんなところだと考えていますか?

二宮:う~ん。建築や土木と違って、造園は完成したその時からはじまるものなんです。苗木が何十年も経って大きく成長し、庭園や公園全体が美しい緑に姿を変える。そういうところに、すごく魅力を感じているんです。先日、設計の授業でお世話になっている先生が、自分が手掛けた公園を10年・20年先に訪れてみると、すごく姿が変わっていて、そこにまた新しい発見や感動があるとおっしゃっていました。それを聴くと、あぁ、造園っていいよなぁって(笑)。

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一同:(笑)

倉方:間違いないですね。それは造園の大きな魅力のひとつだと思います。私は土木も、そして建築も、人が馴染んでいって少しずつできあがっていくものと捉えています。例えば、建物や広場をつくって、人が集まってきて、家族連れが訪れるようになったりしながら、そのように時間をかけて街に馴染んでいくものなんじゃないかな。そう考えると、建築や土木にも、造園的な時間の考え方があって、おもしろいなぁって思います。

二宮:なるほど。そういった視点から建築や土木を見つめてみると、造園についてもまた新しい考え方ができそうです。

寺田:私たちが学んでいる建設の分野って、考えれば考えるほど奥が深いですね。

倉方:私も二宮くんから熱い想いを聴いて、造園の魅力を改めて考える機会になりました。

中之島公園

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明治24年(1891年)に大阪市内ではじめて誕生した公園。堂島川と土佐堀川に挟まれた延長約1.5㎞、面積10.6haを誇る都心のオアシス。現在は園内のバラ園が人気を集め、休日にはその美しい空間を楽しみにたくさんの人々が訪れている。

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明治24年(1891年)に大阪市内ではじめて誕生した公園。堂島川と土佐堀川に挟まれた延長約1.5㎞、面積10.6haを誇る都心のオアシス。現在は園内のバラ園が人気を集め、休日にはその美しい空間を楽しみにたくさんの人々が訪れている。

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