Creator's File スマイルカラー株式会社 林正剛の仕事

スマイルカラー株式会社 林正剛
スマイルカラー株式会社 林正剛 MASATAKA HAYASHI

2004年、修成建設専門学校ガーデンデザイン学科を卒業後、実家である株式会社林造園石材に入社。10年間、造園デザイン・施工の経験を積み、2016年11月、海洋コンテナと植物を組み合わせた商品で新しいライフスタイルを提案する、スマイルカラー株式会社を立ち上げる。お客さまはもちろん、社員も楽しく働ける仕組みづくりに力を入れ、自ら道を切り開いている。

「モノ」ではなく、そこでできる「コト」が商品です。

独立して立ち上げたスマイルカラー株式会社では、海洋コンテナをリノベーションした「コンテナハナレ」と、巨大な寄せ植えの庭である「アソビNIWA」という商品を企画・販売しています。これらの商品を通して私が届けたいのは、商品そのものではなく、それらを使ってできる多彩な体験です。植物が身近にあると、とても気持ちがいいですよね。自然と癒され、笑顔も生まれます。しかし、実際、現代の一般的な住居では庭はなくなり、ガレージなど実用的なスペースに取って代わられています。これは「庭」が、ただ鑑賞するものと位置づけられているから。しかし、室内をおしゃれに演出する観葉植物が人気なことからもわかるように、本当はみんな植物が好きなんです。そこで、一般住居にコンテナのようなフレキシブルな空間を半屋外スペースとして取り入れることにより、「遊ぶ庭」として植物を楽しんでもらえるのではないか。さらには、伝統的な日本家屋にあった「離れ」として、趣味の空間に利用したり、ショップにしたり、いろんな体験ができる空間にすれば、人の輪も広がり、日常がより楽しくなるのではないかと思ったんです。
DIYが好きなお客さまには、基本の施工だけ行い、あとは好きにインテリアを組み立ててもらうことも。お客さまのニーズに合わせた形で提供することが可能です。遊びの空間としてコンテナを使い、その可能性を広げていきたいと思っています。

従来の造園では、完成まで、注文を受けてから図面を描いて、お客さまに確認してもらって、材料を仕入れて…といった方法がとられています。しかし、1㎡からつくることができる大きな鉢植え「アソビNIWA」は、お客さまに会社まで足を運んでいただき、植える土台のサイズや植物、配置を実際に見て選び、1番気に入るものをその場で一緒につくり、すぐに運ぶことができます。こうすることで、商品がお客さまのもとに届くまでの時間を大幅に短縮できるうえ、こちら側もあとから提案を大きく変更されることがないので、コストの削減が可能になります。また、お客さまが図面よりも具体的に完成像をイメージできるよう、20分の1の縮尺模型を使用して植物の種類や配置のシミュレーションを行います。サイズや植物ごとに価格を決めておくと、社員が誰でも接客できますし、お客さまもわかりやすい。そして何より、1番のやりがいは、お客さまから「ありがとう」の言葉をいただくことです。社員全員が接客を通じて、この「ありがとう」を受けとり、仕事へのモチベーションを上げられるようにしたいと考えています。

大切なのは、熱意とチャレンジ。仕事を楽しくすれば、人生も楽しくなります!

私たちの扱う商品は、生活必需品ではありません。あればうれしいけれど、なくても困らないもの。それを売るには、商品の付加価値をつくりだす必要があります。こうしたクリエイティブな仕事をするには、社員自身がクリエイティブな空間に身を置くことが大切。事務所の内装にもこだわりがあります。私のモットーは、「カッコよく」!そのためには、私たち自身がカッコよくなければならないと思っています。例えば、職人だからといってだらしない服装で作業する。これは、家や庭を素敵にしたいというお客さまが見てどう思うでしょうか?お客さまが求める、また、会社自身がめざす付加価値を演出するには、社員一同、それに見合った魅せる仕事をすることが必要だと考えています。
今、仕事がとても楽しく、やりたいことがたくさんあります。目標の一つは、本拠地であるここ和歌山県の地域活性化に貢献することです。職人さんが天候に関係なく作業できるような活躍の場をつくり、造園業界を女性がもっと働きやすくし、雇用を生み出す。そのために、まずは社内の環境を整え、社員たちが少しでも気分よく楽しく働けるよう、経営者として待遇面でも工夫をしていきたいです。

修成に入学したのは、空間づくりの分野に興味があったから。実家が造園会社ということもあり、ガーデンデザイン学科を選びました。2年間を通して学外での学びが多かったことが、今に役立っています。例えば、龍安寺みたいな庭に、と注文されても、龍安寺を知らなければつくることができません。実物を知っているからこそ、そこにある空気感もイメージできるのです。ぜひ在学中にさまざまなところを訪れてください。と同時に、その建物の歴史や文化も学んでください。そうすれば、経験や知識が増えて、自分自身の表現の幅を広げることができます。修成の仲間なら一緒に、同じ方向に向かって頑張れます。これほど心強いことはありません。修成で出会った仲間たちは、今でも私の大きな財産です。
修成に在学中、私はあまり優秀な学生ではありませんでした。それでもこうして独立し、自分の好きなことができているのは、実家の会社に就職して仕事に携わる中で、本当に自分のしたいことをするには、自分から考えを発信しなければならないということに気づいたからです。その考えをきちんと形にできたとき、お客さまは来てくれるのだということを、今の学生たちにも知ってほしいです。社会に出てからは、誰も手取り足取り丁寧に教えてはくれません。自分から挑戦し、失敗を重ねてください。そのチャレンジ精神と熱意があれば、きっと活躍することができます。

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